入社前に研修を”部分的に”行うことで、「ミスマッチ回避」と「育成コスト削減」を両立

この人にインタビュー

マンパワーグループ株式会社
Experis事業本部サービスデリバリー統括部長
宮澤拓巳様

1966年創業。日本初の人材派遣会社としてスタートし、現在は全国に153拠点。従業員は約3800人。https://www.manpowergroup.jp/

※マンパワーグループでのサービス名「SODATEC(ソダテック)」

ご利用いただいたサービス

ご利用いただいたサービスについて教えてください。

宮澤様
当社が行っているSESやITエンジニア派遣、業務委託といった事業で活躍いただく人材を、「リスキル採用支援サービス」から採用しています。業務内容は主に、ITインフラの運用や保守業務、アプリケーション開発です。

御社と当社でタッグを組んで、未経験者を集めて無料で10日間のIT教育を施し、志望者は当社の採用面接を受けていただく。こうした流れの仕組みを「SODATEC(ソダテック)」というサービスにして、提供しています。

いつからご利用されていますか?

宮澤様
2019年から現在まで利用しており、今年で5年目になります。

サービス導入前の課題

リスキル採用支援サービスを導入される前、どんな課題がありましたか?

宮澤様
当時は「業務経験者」だけを採用する「キャリア採用戦略」を取っていましたが、採用目標とのギャップが年々大きくなっていき、エンジニアの確保が重要な課題でした。

市場にいるインフラエンジニア、アプリ開発エンジニアは大して増えていないのに、採用したい企業数、採用人数は急増していたんです。限られたパイの争奪戦となり、求人倍率が一気に跳ね上がりました。

当時どのような対策を取られたのでしょう?

宮澤様
採用方法をあれこれと模索しました。採用コストをかけて求人媒体で訴求しても効果はなく、”採用方法”が問題なのではなく、”キャリア採用”が問題だと気づいたんです。そもそも経験者だけを採用していたら、採用数が不足するだけでなく、採用コストも上がっていく時代なんだなと思いました。

ちょうどそのころ、経済産業省がIT人材は2030年、約59万人不足するというデータを発表していました。それまで経験者のみを希望するスタンスだったクライアント企業様にも「経験者を希望しても採用が難しいんだな」という認識が浸透していきました。

サービス導入の決め手

リスキル採用支援サービスを導入した決め手は何でしたか?

宮澤様
そのような状況もあり、未経験者でも受け入れて育てる方針に舵を切るしかないと考えていたタイミングだったので、未経験者にIT教育を施している御社とタッグを組み、事前研修を組み込んだ人材紹介を行う方法は渡りに船でした。当社はアライアンスを結ぶ形で導入させていただきました。

サービス導入後に得られた効果

リスキル採用支援サービスを導入して変化はありましたか?

宮澤様
1年目こそスモールスタートでしたが、2年目以降は採用人数や採用エリアを拡大させていきました。

当社からは、インフラエンジニアポジションでの人材紹介をお願いしていたのですが、ご紹介いただく人材はインフラエンジニアに対する業務理解と興味の度合いがとても高く、クライアント企業様からも好評でした。完全に行き詰まっていた人材戦略の突破口になっていきました。

サービスを利用してみた感想

現在までサービスを利用された感想をお聞かせください。

宮澤様
紹介時点では既に学習が進んでいるため、入社後研修が部分的に完了しているような状態になり、研修コストが削減できる効果がありました。また、事前に学習をし、業務理解度を高めた状態で入社をすることにより、入社後のミスマッチを抑止できる点も大きなメリットだったと感じています。

採用前にスキル研修を行なうモデルは、未経験者を採用するためにも、採用後のミスマッチを抑制して中長期的に働いてもらうためにも、今や「鉄板」のモデルだと思っています。以前のように、キャリア採用に限った戦略は少なくなっていくでしょう。

ただ、採用市場や人材動向も刻々と変化しています。今やIT業界以外でも「未経験者」の争奪戦が顕著になってきました。今うまくいっていても、この先も同じ採用方法ではうまくいかなくなる可能性もあるでしょう。

今後は、ただ採用するだけでなく、短期離職を防ぐこと、働きながらスキルアップできるような仕組みを整えていくことで、競合優位性を確保し続けたいと考えています。

今後の方針・目標は?

採用や育成に関して、今後の方針はありますか?

宮澤様
今の若い世代は、「自分が社会人としてどのようなキャリアを築いていけるのか」ということにとても強い関心を持っています。終身雇用が崩壊し、一つの会社で勤めず、スキルを身につけていろいろな会社を渡り歩くキャリアプランを考えていると思います。

福利厚生が充実している、風通しのいい社風など、会社の魅力をアピールすることだけではなく、「うちの会社だと、あなたはこんなスキルが得られて、こういう仕事を経験できるんですよ」というキャリアに関する情報をしっかりアピールしていく必要があると考えています。そのため、採用前や入社後の研修では、代表的なキャリアを具体的に示すようなコンテンツを追加していきます。

求職者の視点に立った戦略が必要なんですね。

宮澤様
その通りです。人口が減っている今の日本では、採用コストは経験者、未経験者関係なく顕著に上がっていきます。このままでは未経験者でも採用が難しくなる状況さえ起こりうると思っているので、「短期的な採用」ではなく「中長期的な採用と育成」という視点に立って人事戦略の仕組みを作っていくことが非常に重要だと考えています。

弊社はもともと、仕事と並行してスキルアップできる仕組みを取り入れており、長期的に活躍してもらう人材育成を目標としていました。そこは変わらないのですが、採用前の研修をさらにブラッシュアップさせて、求職者の視点で「自分がこの会社で得られるキャリア」を描けるようにすることで、長く働きながら成長できる人材を採用したいと考えています。

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この記事を書いた人

S.KAWABATA  株式会社UZUZ COLLEGE 代表取締役

UZUZ COLLEGE代表取締役社長、UZUZグループ専務取締役。1986年生まれ、鹿児島出身。高校卒業後、九州大学にて機械航空工学を専攻。大学卒業後、住宅設備メーカーINAX(現・LIXIL)に入社。1年目からキッチン・洗面化粧台の商品開発に携わるも、3年目に製造部へ異動し、毎日ロボットと作業スピードを競い合う日々を送る。高校の同級生であったUZUZ創業者からの誘いと、自身のキャリアチェンジのため、「UZUZ」立ち上げに参画。第二新卒・既卒・フリーターといった20代若者への就業支援実績は累計2,000名を超える。2020年より教育研修事業を立ち上げ、2024年より「UZUZ COLLEGE」として分社化し、代表取締役社長に就任。