Linuxに関する資格を取得する際、LinuC(リナック)とLPIC(エルピック)のどちらを取得すべきか迷う人も多いのではないでしょうか。
本記事では、LinuCとLPICの違いを詳細に比較し、各資格の特徴やメリット、勉強方法などを解説します。
この記事を読むことで、どちらの資格が自分のキャリアプランに合っているのかが明確に分かり、最適な選択をするための情報を得られるでしょう。
なお、LinuCとLPICの資格概要については、網羅的にまとめたYouTube動画も用意していますので、併せてチェックしてみてください。
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LinuCとLPICは、どちらもLinuxに関する技術やスキルを証明する資格ですが、特徴や対象市場に違いがあります。
最も大きな違いを一言で表現するなら、LinuCは「日本市場向けの資格」であり、LPICは「世界基準の資格」といえるでしょう。
LinuCは、日本国内でのシステム開発や運用管理に必要な技術が試験内容に反映されており、日本でのキャリアを考えている人に最適な資格です。
これに対してLPICは、グローバルスタンダードな資格であり、外資系企業や海外への転職を目指す人に適しています。
それぞれの資格が持つ特色を理解することで、自分のキャリアに合った資格選びが可能です。
以下の記事では、サーバーエンジニアに必要な資格について、詳しく解説しています。
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ここからは、LinuCとLPICの違いについて、詳細に比較していきます。
多角的な視点からそれぞれの特徴を解説するため、自身のキャリアに最適な資格を選択するためのヒントとしてください。
こちらは、LinuCとLPICの運営団体や設立年をまとめた表です。
LinuC | LPIC | |
---|---|---|
運営団体 | LPI-Japan(日本の団体) | LPI(カナダの団体) |
設立年 | 2018年 | 2001年 |
LinuCは、LPI-Japanという日本の団体が運営しており、日本市場向けに特化しています。
一方、LPICは、日本支部もあるものの、基本的にはカナダのトロントに本部を置く「LPI(Linux Professional Institute)」によって運営されています。
LPICは、2001年からと開始年が早いです。
また、現在では世界180ヵ国以上で試験が実施されており、日本語を含む9ヵ国語で受験可能という特徴もあります。
これらの理由から、LPICの受験者数は非常に多いです。
対してLinuCは、日本市場向けの後発試験であるため、グローバルな規模で見るとLPICと比べて受験者数は少なめとなっています。
ただし、日本国内では着実に認知度を高めている資格なので、取得を推奨するIT系の大企業も増えてきています。
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LinuCが生まれた背景には、LPICが国際資格であるために、日本国内のIT技術の変化やニーズと乖離が生じたことがあります。
これを受けて、LPI-Japanは「日本市場に最適化した認定試験が必要だ」と考え、LinuCを実施しました。
LinuCは、日本のシステム開発や運用管理に必要な技術が試験内容に反映されており、日本の企業やプロジェクトなど、国内での評価が高いです。
対してLPICは、国際市場向けの資格試験であり、グローバルなITエンジニアとしてのスキルを証明することができます。
このため、LPICを取得していると、外資系企業や国際的なプロジェクトで優遇されることが多いです。
各資格のレベルごとの試験範囲は、以下の通りです。
試験範囲 | LinuC | LPIC |
---|---|---|
レベル1 (101試験・102試験の両方に合格で認定) | 【101試験】 ・Linuxのインストールと仮想マシン、コンテナの利用 ・ファイル、ディレクトリの操作と管理 ・GNUとUnixのコマンド ・リポジトリとパッケージ管理 ・ハードウェア、ディスク、パーティション、ファイルシステム 【102試験】 ・シェルおよびスクリプト ・ネットワークの基礎 ・システム管理 ・重要なシステムサービス ・セキュリティ ・オープンソースの文化 | 【101試験】 ・システムアーキテクチャ ・Linuxのインストールとパッケージ管理 ・GNUとUnixコマンド ・デバイス、Linuxファイルシステム、ファイルシステム階層標準 【102試験】 ・シェル、スクリプト ・ユーザーインターフェースとデスクトップ ・管理タスク ・必須システムサービス ・ネットワークの基礎 ・セキュリティ |
レベル2 (201試験・202試験の両方に合格で認定) | 【201試験】 ・システムの起動とLinuxカーネル ・ファイルシステムとストレージ管理 ・ネットワーク構成 ・システムの保守と運用管理 ・仮想化サーバー ・コンテナ 【202試験】 ・ネットワーククライアントの管理 ・ドメインネーム ・サーバー ・HTTPサーバーとプロキシサーバー ・電子メールサービス ・ファイル共有サービス ・システムのセキュリティ ・システムアーキテクチャ | 【201試験】 ・容量計画 ・Linuxカーネル ・システムスタートアップ ・ファイルシステムとデバイス ・ストレージデバイスのアドミニストレーション ・ネットワーク構成 ・システムメンテナンス 【202試験】 ・ドメインネームサーバー ・ウェブサービス ・ファイル共有 ・ネットワーククライアント管理 ・電子メールサービス ・システムセキュリティ |
レベル3 (左記いずれかの試験に合格で認定) | 【300試験】 ・OpenLDAPの設定 ・OpenLDAPの認証バックエンドとしての利用 ・Sambaの基礎 ・Sambaの共有の設定 ・Sambaのユーザとグループの管理 ・Sambaのドメイン統合 ・Sambaのネームサービス ・LinuxおよびWindowsクライアントの操作 【303試験】 ・暗号化 ・ホストセキュリティ ・アクセス制御 ・ネットワークセキュリティ 【304試験】 ・仮想化 ・高可用クラスタ管理 ・高可用クラスタストレージ | 【300試験】 ・Sambaの基本 ・SambaとActive Directoryのドメイン ・Samba共有の設定 ・Sambaクライアントの設定 ・LinuxのID管理とファイル共有 【303試験】 ・暗号技術 ・アクセス制御 ・アプリケーションセキュリティ ・オペレーションセキュリティ ・ネットワークセキュリティ ・脅威と脆弱性の評価 【305試験】 ・完全仮想化 ・コンテナ仮想化 ・VMのデプロイメントとプロビジョニング 【306試験】 ・高可用性クラスタ管理 ・高可用性クラスタストレージ ・高可用性分散ストレージ ・シングルノードハイアベイラビリティ |
引用元:LPI-Japan「レベル1」「レベル2」「レベル3」LPI「LPIC-1」「LPIC-2」「LPIC-3 仮想化とコンテナ化」「LPIC-3 混在環境」「LPIC-3 セキュリティ」「LPIC-3 High Availability and Storage Clusters」
LinuCとLPICの両資格とも、レベル1からレベル3までの段階に分かれており、レベルが上がるにつれて難易度も高くなります。
ただし、それぞれの試験範囲には大きな違いがあるため、理解しておきましょう。
LPICは国際的な標準に基づいており、広範なLinuxの技術全般に焦点を当てています。
これに対してLinuCは、日本市場に特化しており、クラウド利用を前提としたシステム開発や運用管理に重点を置いています。
例えば、LinuCのレベル1試験では仮想マシンやコンテナに関する項目が含まれていますが、LPICではこれらのトピックはレベル3で取り扱われる内容です。
このように、LinuCは日本のIT環境に即した内容が特徴であり、LPICは国際的な視野での技術をカバーしています。
LinuCとLPICは、合否判定方法にも違いがあります。
LinuCでは合否判定に加え、項目別のスコアが提供されるため、試験の結果を詳細に把握できます。
これにより、不合格だった場合の対策を立てやすく、自分の弱点を明確に把握することが可能です。
一方LPICでは、合否のみが通知され、スコアの詳細や項目別の評価は提供されません。
このような違いから、LinuCの方が自己改善に役立つ情報が得られる試験といえます。
LinuCとLPICの難易度や、必要な勉強時間に違いはありません。
試験レベル | 必要な勉強時間 |
---|---|
・LinuCレベル1 ・LPIC-1 | IT未経験者で約160時間 |
・LinuCレベル2 ・LPIC-2 | 下位資格(レベル1)を取得している人で約60〜120時間 |
・LinuCレベル3 ・LPIC-3 | 下位資格(レベル2)を取得している人で約60〜120時間 |
両資格の合格率は公開されていないため、具体的な難易度の比較は難しいですが、試験のレベルに応じた十分な学習が必要です。
なお、合格点について、LinuCの公式サイトでは以下のように記載されています。
引用:LinuC「よくあるご質問」
合格点は公表しておりません。目安として65〜75%程度の正解率で合格点となるとお考えください。
LPICの合格点についても詳細は公開されていませんが、一般的にはLinuCと同程度の理解度が求められます。
LinuCとLPICの受験料は、いずれも一律16,500円(税込)です。
ただし、レベル1やレベル2の試験では、2つの試験を受ける必要があります。
例えば、LinuCのレベル1では「101試験」と「102試験」の両方を受験し、合格することで資格の認定を得られるのです。
そのため、LinuCレベル1の受験料は、合計で33,000円(税込)となります。
LPICも同様に、レベルごとに複数の試験を受けることで認定が得られるため、受験料は試験数に応じた合計額がかかります。
以下にまとめた試験の詳細は、LinuCとLPICともに同条件です。
試験日 | 基本的にいつでも受験可能 |
受験要件 | 上位レベルの認定を受けるには下位レベルの試験の認定が必要 |
受験方法 | 全国にあるテストセンター/自宅からのオンライン受験 |
問題数 | 約60問 |
試験時間 | 90分 |
出題形式 | CBT方式(コンピュータを使った試験) |
有効期限 | 5年 |
どちらの資格でも、上位レベルの認定を受けるには、まず下位レベルの試験に合格する必要があります。
資格の有効期限は取得後5年間で、その期限が過ぎると、Linuxのスキルを証明するための資格としての有効性が失われます。
従って、期限が切れる前に上位のグレードに合格するか、同じ試験を再受験して再認定を受ける必要があることを覚えておきましょう。
ここからは、LinuCとLPICのどちらを取得すべきかについて、2つのパターンを例に挙げて解説します。
「未経験でインフラエンジニアへの転職を目指している場合」と「キャリアプランで考えた場合」だったら、一体どちらを取得すべきなのでしょうか?
自分のスキルや目標とするキャリアプランに基づいて考えましょう。
未経験からインフラエンジニアへの転職を目指している場合、LinuCを取得するのがおすすめです。
繰り返しになりますが、LinuCは日本市場向けの資格で、日本の団体が運営しているため、問題文が日本語として自然で、解きやすいという利点があります。
対照的に、LPICは英語の問題を直訳しているため、LinuCと比べて日本語の問題文に不自然な表現が含まれることもあり、理解が難しいケースも多いです。
また、初めての転職先として海外企業を考える可能性は低いため、まずは、受験しやすく、日本市場での評価も高いLinuCを取得するのが良いでしょう。
LinuCは、日本の企業やプロジェクトでのキャリア構築に、最適な選択といえます。
LPICは国際的に認知されている資格で、世界中で高く評価されています。
そのため、将来的なキャリアプランとして、外資系企業や海外転職を考えている場合には、LPICの取得がおすすめです。
LinuCはあくまでも日本国内向けの資格であり、レベル1程度では海外で通用しません。
そのため、国内でのキャリアを重視する場合にはLinuCが有効ですが、国際的な視野を持つ場合はLPICが適しているといえます。
LinuCとLPICのどちらを取得しようか迷った際は、将来のキャリアプランに応じて、適切な資格を選ぶことが大切です。
LinuCとLPICの学習方法は基本的に同じで、いずれも以下の流れです。
LPICとLinuCは別の試験といっても、試験内容や形式に似通っている点があります。
そのため、LPICの教材をLinuC対策として使用することも可能ですが、レベルごとの試験範囲には若干の違いがあるため、各試験に対応した教材を使うのが望ましいです。
以下は各試験におすすめの教材なので、参考にしてください。
書籍名 | 特徴 |
---|---|
最短突破 Linucレベル1 合格教本 | LinuCの研修経験が豊富な講師が解説しており、未経験者でも理解しやすい内容になっている |
1週間でLPICの基礎が学べる本 | ・Linuxの基本を初心者向けに丁寧に解説している ・CentOSの仮想マシンをダウンロードできるので、実際にコマンド操作しながら学習できる |
また、網羅的に知識をインプットするには、動画教材も効果的です。
動画教材はイラストやアニメーションを用いて視覚的に理解を助け、音声での説明も加わることで、目と耳の両方で学習できるため知識が深まりやすいです。
なお、弊社ウズウズカレッジでは、LinuC対策用の動画教材をご用意しています。
未経験者にも分かりやすい、図表を用いた映像授業なため、独学で合格できるか不安に思っている方にもおすすめです。
興味のある方は、ぜひ以下より詳細をチェックしてみてください。
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また、以下の記事ではLinuCとLPICの勉強方法や参考書の選び方について、詳しく解説しています。
受験を検討している方は、こちらも参考にしてください。
LinuCとLPICはそれぞれ異なる市場やニーズに応じた資格ですが、どちらを選ぶかは自分のキャリアプランや目指す方向性によって決まります。
LinuCは日本市場向けの資格で国内での評価が高く、特に日本の企業やプロジェクトで役立ちます。
一方、LPICは国際的に認知されており、外資系企業や海外転職を考えている方におすすめの資格です。
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UZUZ COLLEGE研修・学習サポート部門事業責任者。1989年生まれ、大阪府和泉市の大阪母子医療センター出身。ITエンジニアの父の影響から中学生のときに初めてパソコンを自作し、以降自分のパソコンはずっと自作するようになる(AMDが好き)。大阪の高校を卒業後、同志社大学文学部哲学科に進学。京都盆地の夏の暑さと冬の寒さに鍛えられる。関西を追われるように上京し、塾講師として文系科目(英・国・社)を指導する。受験前の48連勤や夏期講習の毎日10時間講義によって心身ともに鍛えられ、満を持して転職。UZUZ COLLEGEでは講師としてビジネスマナーからITの専門分野まで担当した後、現在は公共事業、法人研修、および学習サポートのマネジメント業務を主に担当。