これからIT業界で働きたい方や業界経験の浅い方は「LPICとはどんな資格?」と思っている方も多いでしょう。
LPICとは、インターネットサーバーの分野で高いシェア率を誇る「Linux」の技術者認定資格です。
Linuxは世界的にも広く利用されているOSで、採用活動にLinuxの知識やスキルを重視する企業も数多く存在します。
そのため、サーバーエンジニアをはじめとしたインフラエンジニアとしてのキャリアを目指す方におすすめの資格です。
本記事では、そんな将来性の高いLPICの試験概要はもちろん、勉強方法まで丁寧に解説しています。
ぜひ最後まで読んでいただき、LPICの学習を進める際の参考にしていただけると幸いです。
監修者:岩田 修一 ITリスキリングサービス「ウズウズカレッジ」を運営。同志社大学卒業後、大手進学塾で最難関校受験クラスを担当。ウズウズカレッジでは教材制作に加え企業研修講師としても活躍中。制作した教材はUdemyで販売され、5段階評価中4.6を獲得。 |
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LPICとは「Linux Professional Institute Certification」の略称で、Linuxの技術者であることを認定するベンダー資格です。
ちなみにベンダー資格とは「ベンダー」と呼ばれるIT関連のハードウェア・ソフトウェアメーカーによる、製品の操作・保守スキルを証明できる資格を指します。
同じLinuxの技術者であることを認定する資格に「LinuC」があります。
LPICとLinuCは主催している団体が違いますが、試験範囲や難易度に大きな違いはありません。
LPICとは、LPI(NPO法人Linux技術者認定機関)によって実施されている試験です。
Linuxは世界で最も普及しているOSの1つで、汎用性が高く、業務用のシステムを中心に利用されています。
LPICはもともとカナダで考案された試験で、2016年12月時点で世界53万人以上の技術者が受験しており、18万人以上が認定を受けている資格です。
そのため「世界共通の認定基準」として認められています。
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LPICと似ている資格に「LinuC」があります。
LinuCもLPIC同様、Linuxの技術者認定を受けられる資格です。
2つの資格の違いは試験を運営している団体です。LPICはカナダに本部を置くLPI(Linux Professional Institute)の日本支部が運営しています。
一方、LinuCの運営団体は「LPI-Japan」です。
LinuCの正式名称は「Linux技術者認定試験LinuC」といい、LPI-JapanがLPICをもとに日本市場向け試験として開発しました。LPICをベースに作られたため、試験内容や難易度もほぼ同じです。
LinuCは日本国内向けの資格であるため、海外の企業には評価されないものの、これからITエンジニアを目指す方にとってはあまり影響がないでしょう。
経験の浅い人が海外で仕事をするのは現実的に難しいので、まずは日本人向けに開発された「LinuC」を受験するのがおすすめです。
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また、LPICとLinuCについては、以下のYouTube動画でも詳しくまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。
試験はレベル1〜3の3段階に分かれており、簡単な順に「LPIC-1」「LPIC-2」「LPIC-3」となっています。
上位試験を受けるには、下位試験に合格していることが条件です。
以下、それぞれの特徴を解説します。
レベル1は、Linuxの基本操作と簡単なシステム管理ができることを証明する資格です。
実際に開発現場で利用するスキルが問われるものの、Linuxの実務経験がない未経験者でも集中して勉強すれば、1か月程度の学習で合格できると言われています。
LPICレベル1の概要を公式サイトより抜粋し、以下の表にまとめました。
試験範囲 | 101-500、102-500 |
認定要件 | 5年以内に101試験と102試験の両方に合格すること |
出題数 | 60問(多肢選択問題、穴埋め問題) |
試験時間 | 各90分 |
受験資格 | 特になし |
有効期間 | 5年 |
参考:「LPI:Linux Professional Institute LPIC-1」
試験はコンピュータを用いて回答入力をするCBT(Computer-Based Testing)方式で出題されます。
レベル2はLinuxのシステムを活用し、中小規模のネットワークを管理する能力を認定する資格です。基本的な操作を前提として、メンテナンスやセキュリティなど、より高度なスキルが求められます。
Linuxの実務経験がない未経験者が挑戦するケースはほとんどありません。
というのも、より細かな条件が指定される分、多少の実務経験があるエンジニアでないと理解が難しいからです。
以下、公式サイトより抜粋し、レベル2の概要をまとめました。
試験範囲 | 201-450、202-450 |
認定要件 | 5年以内に201試験と202試験の両方に合格すること |
出題数 | 60問(多肢選択問題、穴埋め問題) |
試験時間 | 各90分 |
受験資格 | 有効期間内のLPICレベル1認定を取得していること |
有効期間 | 5年 |
参考「LPI:Linux Professional Institute LPIC-2」
出題形式もレベル1と同じく、コンピュータを用いたCBT方式です。
レベル3は業界内で最高レベルの技術を持つことが認定されます。
レベル1では101と102、レベル2では201と202の両方に合格しなければなりませんでしたが、レベル3は以下4つの中から1つ合格すれば認定を受けられます。
そのため、取得した分野の「エキスパート」として扱われます。
レベル3の概要を公式サイトより抜粋し、以下の表にまとめました。
試験範囲 | 300試験:混在環境 303試験:セキュリティ 305試験:仮想化とコンテナ ※英語試験のみ 306試験:高可用性(HA)とストレージ ※英語試験のみ |
認定要件 | 300試験に合格すること |
出題数 | 60問(多肢選択問題、穴埋め問題) |
試験時間 | 90分 |
受験資格 | 有効期間内のLPICレベル2認定を取得していること |
有効期間 | 5年 |
参考「LPI:Linux Professional Institute LPIC-3」
どれも高度な専門知識を問われるため、レベル3はレベル2までと比べて難易度が格段に上がっています。
LPICを取得するメリットは、以下の3つです。
それぞれの内容を詳しく解説します。
LPICは実務を重視している試験のため、試験勉強を通じて必要な知識が効率よく身につき、スキルアップに繋がります。
ITエンジニアとして働くうえで、OSに関する知識は欠かせません。
OSの中でもLinuxはユーザーが多いので、身につけた知識やスキルを実務で活かせる場面が多いです。
日本企業の多くがLinuxを導入しており、インターネットサーバーの中でもLinuxは高いシェア率を誇っています。
つまりLPICを取得していると、就職活動や転職活動の場面で即戦力として期待される可能性が高く、アピール材料として効果的です。
LPIが公開している「Open Source Job社のレポート」によると、採用担当者の74%が「Linuxは新入社員に求める最も需要の高いスキルである」、81%が「オープンソース人材の採用を優先する」と回答しています。
また、同レポートで87%の組織が「オープンソースの才能を見つけることが難しい」と回答しており、Linuxを活用できる人材が足りません。
これらの観点からも、LPICを取得しておくことで転職や就職で有利になると考えられます。
LPICは、ITエンジニアとして働くうえで需要の高い資格です。
先述の通り、Linuxは多くの現場で使用されています。
LPICの取得によってLinuxに関する知識やスキルを証明できるため、よりハイレベルな案件を担当できる可能性があります。少なくても、資格を取得するほど勉強熱心な姿勢が評価されるのは間違いありません。
実際「Foote Partners社のレポート」によると、認定を受けた人の77%が「6ヶ月以内に昇給している」と答えています。具体的には「LPICレベル1を認定するとボーナス支給額を20%増額」といった回答が見られました。
このように、LPICの取得を手当や昇給条件にしているところもあるため、企業によっては収入アップも可能です。
お伝えしたように、LPICは1〜3のレベルに分かれています。
ここでは、レベル別に必要な勉強時間・合格点・合格率を解説していきます。
勉強時間の目安を以下の表にまとめました。
グレード | 未経験からの勉強時間 |
レベル1 | 100時間程度 |
レベル2 | 200時間程度 |
レベル3 | 個人差が大きい |
レベル1であれば、1日3時間ほど集中的に学習できる方なら、未経験者であっても1か月程度で合格できます。
また、レベル1とレベル2は参考書と問題集のみで試験に合格することも可能ですが、大事なのは「学んだ知識やスキルを実務に活かすこと」です。
そのため、実際に手を動かしながら学べるスクールや試験対策講座を受講することで、より実務に役立つスキルが身につくでしょう。
LPICの合格点は200〜800点のうち、500点以上とされています。
ただし、LPICの大きな特徴として、受験者が全員同じ問題を出題されるとは限りません。
試験問題は受験者によって異なり、問題の点数配分は難易度によって決まります。
難易度の判定は、LPI認定試験研究会が行う心理測定調査に基づきます。
公表されている日本国内の受験者数は2017年3月時点で累計290,000人、合格者はレベル別で以下の通りです。
グレード | 合格者数 |
レベル1 | 約69,000人 |
レベル2 | 約21,000人 |
レベル3 | 約13,000人 |
勉強時間の目安を以下の表にまとめました。
LPICの正確な合格率は非公開とされていますが、上記のデータから推測すると以下のように考えられます。
LPICの基本的な勉強方法は、参考書と演習サイトを活用することです。
特にレベル1〜2はある程度の出題傾向が決まっているため、基本を繰り返し学習すれば合格点は十分到達できます。
ただし、初心者の方は可能な限り、実際のLinux構築に慣れておきましょう。
実務に直結するからという理由もありますが、実際にコマンドを操作することで内容をスムーズに理解できるからです。
以下、おすすめの参考書と演習サイトを紹介します。
LPICの勉強におすすめの参考書は、以下の3つです。
おすすめできる理由と各教材の特徴を1つずつ紹介します。
こちらの「1週間でLPICの基礎が学べる本」は、Linux未経験でLPICを受験する方に読んでいただきたい本です。
以下2冊の教材もおすすめですが、最初に取り掛かるものとしてはこちらの「1週間でLPICの基礎が学べる本」が最も初心者向けとなっています。
「LPIC合格へのはじめの一歩」として、Linuxを扱う上での基礎が分かりやすく解説されています。LPICに限らず、Linuxを扱う方は読んで損のない1冊といえるでしょう。
経験者の方には、こちらの「Linux教科書 LPICレベル1」がおすすめです。
通称「あずき本」とも呼ばれています。LPIに認定されているテキストということもあり、LPICに関する参考書の中では、最も有名といえるでしょう。
特に、問題を解きながら分かりにくいと思った内容や疑問点を調べる資料としても活用でき、名前の通り「教科書」に値する1冊です。
こちらの「Linux教科書 LPICレベル1 スピードマスター問題集」は先程の「あずき本」に対応したLPICの問題集です。
こちらは通称「白本」と呼ばれます。
問題集となっていますが、問題それぞれに大変分かりやすい解説がついているので、初心者にとっても活用しやすい教材といえるでしょう。
さらに、こちらに掲載されている問題は「実際の問題によく似ている」と好評です。より試験対策が効率的に進められるといった意味でも、おすすめの1冊です。
LPICの学習におすすめの演習サイトは以下の3つです。
3つのうち「LinuCイージス」と「ウズカレテスト」はLinuC向けの教材になっていますが、LPICの学習にも対応できるためおすすめしています。
LinuCイージスは「LinuCレベル1の試験対策」として利用できるWeb教材です。
個人で運営しているサイトですが、内容が充実しているサイトとして好評を得ています。
LinuCイージスのサイトは、先ほど紹介した参考書「Linux教科書 LPICレベル1」「Linux教科書 LPICレベル1 スピードマスター問題集」をベースに演習問題が設定されており、LinuCイージスを活用することでより知識の定着につながります。
「LPI Learning」はLPI(Linux Professional Institute)が独自に開発して提供している、無料の学習教材です。
現在は「システムアーキテクチャ」と「Linuxのインストールとパッケージ管理」の2分野の課題が公開されています。
今後「GNUとUnixコマンド」と「デバイス、Linuxファイルシステム、ファイルシステム階層標準」の2分野の課題も公開予定です。
頻繁にアップデートがされているため、とにかく最新情報を重視したい方におすすめです。
「ウズカレテスト」は、私たちウズウズカレッジが提供している無料の学習サイトです。
LinuC向けの教材を提供しており、LPICの学習にも役立ちます。
問題は分野ごとに分かれており、正答率や取組時間などの学習記録が残ります。
「連続正解」「1度正解」「不正解・未回答」と自動で分類されるので、あなたの得意不得意が一目で分かる仕組みです。そのため、苦手分野・理解度の低い分野を集中的に学習でき、効率的に試験対策を進められます。
無料で登録・利用できるので、LinuC・LPICレベル1を受験される方はぜひ活用してみてください。
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ここまでの内容を踏まえて「LPICに挑戦したい」という方もいるでしょう。
そこでLPICの受験を考えている方に向けて、以下の内容を解説します。
LPICの試験は全国で行われており、都合の日時と場所を選んで受験できます。以下の表に、試験日と試験会場についてまとめました。
申込日 | インターネットから随時 |
試験日 | 月~土曜(祝日を除く) |
試験会場 |
|
合格発表 | 受験後、即時(認定証は約1か月後に郵送) |
オンラインでの受験は、以下の条件を満たす場合に限ります。
基本的には自身の都合に合わせて受験できますが、テストセンターによって受験時間や休日が異なるので、事前に確認してください。
LPICは国によって受験料が異なり、日本では全レベル15,000円(税抜)です。
受験料は全試験共通の「バウチャー」と呼ばれる受験チケットを購入します。
バウチャーは「ピアソンVUE」のホームページから購入できるので、支払いはインターネットで完結します。
注意点は以下の2つです。
LPICを受験する際は、以下の流れで申し込みができます。
LPI-IDは今後マイページにログインするために必要なので、忘れずに保存しておきましょう。
参考「ピアソンVUE:LPI | Linux Professional Institute認定試験」
LPIは再受験についての「認証ポリシー」を明記しています。ポイントは、以下の3点です。
LPICとLinuCは試験内容や形式が似ているため、基本的な部分はLinuCの参考書や演習サイトでも勉強できます。
特に未経験やIT業界の実務経験が浅い方、海外で働きたいという明確なビジョンを持っていない方は、日本語で理解しやすいLinuC向けの教材・演習サイトで勉強するのもありです。
LPICやLinuC以外にも、サーバーエンジニアとして役立つ資格はたくさんあります。
例えばネットワークの基礎知識を証明できる「CCNA」やクラウドサービスの知識を証明できる「AWS認定資格」などがあります。
詳しい詳細については、以下の記事でまとめていますので、参考にしてください。
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この記事ではLPICについて、以下の内容を解説しました。
LPICはIT業界でも高いシェアをもつOS「Linux」の技術者認定資格であるため、取得すると実務に大きく役立ちます。
特に未経験の人にとっては、現場で即戦力となることをアピールできる資格です。
「LPICの試験に挑戦してみたい」「資格を取って就活を有利に進めたい」という方は、本記事の「LPICの勉強方法」でお伝えした教材の中から、ご自身に合った勉強方法を選びましょう。
先ほどもお伝えしたように、日本向けに開発された「LinuCの教材」でもLPICの学習ができます。
私たちウズウズカレッジも「LinuCコース」を用意しており、以下の強みがあります。
未経験の方でも安心して学習できるようにサポートすることはもちろん、就職支援にも力を入れています。
気になった方は、ぜひ詳細をご覧ください。
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