未経験からITエンジニアを目指している方の中には「ITエンジニアは需要があると聞くけど、未経験からでも就職できるの?」と疑問をお持ちの方もいらっしゃいます。
近年ではDX(デジタル変革)推進などの背景もあり、ITエンジニアは人手不足の状態です。
経済産業省の「IT人材育成の状況等について(p.6)」によると、2030年の時点で最大79万人のIT人材が不足すると予測されています。
他にも、dodaの「転職求人倍率レポート」によると、ITエンジニアの求人倍率は6倍以上になり、未経験者の採用も増えていることが報告されています。
そのため「未経験からでもITエンジニアとして働くことは可能」といえるでしょう。
ただし、ITエンジニアの種類によっては経験を積んでいないと就職が難しいものもあるので、未経験でも就職しやすい職種について知っておくことが大切です。
本記事では、未経験からITエンジニアを目指す際におすすめの種類や働き方について、詳しく解説しています。
ぜひ最後まで読んでいただき、未経験からITエンジニアとして活躍する第一歩を踏み出しましょう。
監修者:岩田 修一 ITリスキリングサービス「ウズウズカレッジ」を運営。同志社大学卒業後、大手進学塾で最難関校受験クラスを担当。ウズウズカレッジでは教材制作に加え企業研修講師としても活躍中。制作した教材はUdemyで販売され、5段階評価中4.6を獲得。 |
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ITエンジニアは、大きく以下の4種類に分類されます。
担当業務や開発するシステム対象が異なるので、以下それぞれの分野について詳しく解説します。
ITエンジニアの種類については「【ITエンジニアの種類】役割・業務・適性を徹底解説!」の記事で詳しく解説していますので、こちらもぜひご覧ください。
開発エンジニアは大きく「業務系」と「Web系」の2つに分けられます。
以下、それぞれの仕事内容や未経験からでも就職しやすい職種について、詳しく解説していきます。
開発規模が大きいため、1人ですべての開発を担うわけではなく、チームで行うことがほとんどです。
例えば、設計をシステムエンジニア、開発をプログラマーが行うなど、工程によって担当するITエンジニアが異なります。
職種ごとの主な仕事内容を、以下の表にまとめました。
システムエンジニア | システムの要件定義、設計、開発 |
アプリケーションエンジニア | ソフトウェアの要件定義、設計、開発 |
エンベデッドエンジニア | 組込ソフトウェアの設計、開発 |
プログラマー | システム、ソフトウェアの開発 |
4つの職種の中で、未経験から就職しやすいのは「プログラマー」です。
プログラマーはプログラミングの基礎スキルこそ必要なものの、システムやソフトウェアの開発に欠かせない職種なので需要も大きく、未経験向けの求人も一定数あります。
一方、要件定義や設計業務はある程度の開発経験が必要になるので、未経験からの就職は難しいでしょう。
そのため、システムエンジニア・アプリケーションエンジニア・エンベデッドエンジニアになりたい方は、プログラマーとして経験を積んだ後に目指すのがおすすめです。
WebアプリはスマホやPCにインストールするアプリとは違い、インターネットにアクセスするだけで利用できるため、近年急速に普及が進んでいます。
例えば、YouTubeやGmailなどもWebアプリにあたります。
以下の表は、Web系エンジニアの具体的な職種や仕事内容をまとめたものです。
フロントエンドエンジニア | 利用者から見える部分(デザインなど)の設計、構築、開発 |
バックエンドエンジニア | 利用者からは見えない部分(データベースなど)の設計、構築、開発 |
マークアップエンジニア | 設計されたデザインをプログラムとして実装 |
未経験でも就職しやすいのは「マークアップエンジニア」です。
マークアップエンジニアはフロントエンドエンジニアに近い職種ですが、フロントエンドエンジニアは複数のプログラム言語に精通している必要があるのに対し、マークアップエンジニアはHTMLとCSSに特化しています。
そのため、未経験でも就職しやすいといえるでしょう。
WebサイトやWebアプリのデザインを実装する需要は大きいため、スキルや実績を身につければ転職も有利です。
一方、フロントエンドエンジニア・バックエンドエンジニアについては、ある程度の開発経験が求められます。
使用言語の習得難易度はそこまで高くないものの、もし未経験からの就職を目指すなら、スキルをアピールできるWebサイトやWebアプリを作っておきましょう。
インフラエンジニアの「インフラ」とは「基盤」という意味で、IT業界においてはネットワーク・サーバー・データベースなどを指します。
インフラエンジニアの仕事内容は名前の通り、ネットワーク・サーバーの設計・構築・運用保守を行うことです。
担当分野によって、インフラエンジニアはさらに職種が分かれています。
以下の表に、細かな職種と主な仕事内容をまとめました。
サーバーエンジニア | サーバーや仮想環境の設計・構築・運用保守 |
ネットワークエンジニア | ネットワークの設計・構築・運用保守 |
データベースエンジニア | データベースの設計・構築・運用保守 |
セキュリティエンジニア | セキュリティ管理システムの設計・構築・運用保守 |
クラウドエンジニア | クラウドサービスを使ったインフラの設計・構築・運用保守 |
どの職種も「運用保守」の業務であれば、未経験からでも就職しやすいのが特徴です。
中でもおすすめなのは「サーバーエンジニア」と「ネットワークエンジニア」です。
どちらも未経験向けの募集が多く、就職も比較的しやすいでしょう。
反対に、データベースエンジニア・セキュリティエンジニア・クラウドエンジニアにおいては、未経験向けの求人は少ないです。
そのため未経験から目指すというよりは、まずサーバーエンジニアやネットワークエンジニアとして経験や実績を積んでから目指すのが良いでしょう。
ITエンジニアは開発エンジニアやインフラエンジニアなどのシステムを作る「技術職」だけでなく、プロジェクト管理などを担う職種もあります。
それが「ITコンサルタント」と「プロジェクトマネージャー」です。
以下の表に、それぞれの主な仕事内容をまとめました。
ITコンサルタント | 経営課題に対してITを用いた解決策を立案する |
プロジェクトマネージャー | 開発プロジェクト全体の管理を行う |
どちらも高い専門知識やスキルが求められるので、未経験から就職するのは難しいです。
また、ITの知識・技術だけではなく、ITコンサルタントならコンサルティング能力、プロジェクトマネージャーならマネジメントスキルが求められます。
これら上流工程に携わるエンジニアになりたい場合は、開発エンジニアとして経験や実績を積みながらコンサルティングやマネジメントの学習をし、キャリアアップとして目指すのがおすすめです。
ITエンジニアは、ここまで紹介した「開発エンジニア」「インフラエンジニア」「上流工程のエンジニア」以外にも存在します。
以下の表に職種と主な仕事内容をまとめました。
社内SE | 社内システムの開発・運用保守 |
ブリッジSE | 自社企業と他社企業(主に海外企業)との橋渡し |
フルスタックエンジニア | Webシステムの開発全般 |
セールスエンジニア | 自社サービスやソフトウェアの営業 |
品質管理エンジニア(テストエンジニア) | 開発したシステムやソフトウェアの品質管理、テスト |
フィールドエンジニア | 顧客に対し自社製品の導入をサポート |
データサイエンティスト | データを分析し、自社事業の意思決定を支援 |
どれも未経験から応募できる求人はほとんどなく、開発エンジニア・インフラエンジニアの経験が求められます。
ITエンジニアとして働く場合、働き方は大きく以下の3つです。
結論として、未経験からITエンジニアを目指すなら、最初は会社員として働くのがおすすめです。
ITエンジニアは技術力によって案件を任される職業のため、未経験でフリーランスになると知識やスキル面で不安を持たれやすく、仕事を獲得できない可能性が高いからです。
それぞれ特徴が異なるので、メリットやデメリットを理解したうえで選択しましょう。
会社員は会社と雇用契約を結んで働くため、働く時間が決まっていることや、企業からの指示に従って仕事をします。
先ほどもお伝えしましたが、未経験からITエンジニアを目指す場合は、まずは会社員として働くのがよいでしょう。
メリットは収入が安定していることです。
ITエンジニアは一定レベル以上の技術力がないと、依頼が来ることはありません。
そのため、フリーランスや副業で仕事を受注しようと思っても、未経験のうちは実績がないため仕事を受けるのが難しいでしょう。
しかし、会社員であれば月給として1ヶ月に得られる収入が決まっているため「依頼がないため、収入がない」ということは起こりません。
また、経験が少ないうちはできる仕事も限られていたり、自分の得意分野が分からないことも多いでしょう。
未経験でも会社に所属すれば様々な仕事を担当するため、経験を積みながら技術力を身につけられるのもメリットといえます。
デメリットは、仕事の自由度が低いことです。
会社員である以上、基本的には会社の指示に沿って働かなければなりません。
企業によっては働き方(リモートワークの有無)や担当する案件など、希望を通しやすいところもありますが、経験が少ないうちは難しいでしょう。
フリーランスは雇用契約ではなく、会社と業務委託契約を結んで案件を受ける働き方です。
メリットは自由な働き方がしやすいことです。
会社員とは違い、依頼がきたら「依頼を受けるかどうか」自分で決めることができます。
一方デメリットは、収入が不安定になりやすいことです。
常に依頼があるとは限らないため、案件に参画していない間は収入が発生しません。
また、案件があったとしても報酬が見合わない場合もあるため、満足な収入が得られないこともあるでしょう。
未経験からいきなりフリーランスのITエンジニアになることは難しいです。
繰り返しになりますが、ITエンジニアは実績や技術力が重視されます。
そのため、経験や実績が少ないとクライアントからの信頼が得られず、仕事を受注できない可能性が高いです。
フリーランスを目指すなら、まずは会社員で経験や実績を積み、その後フリーランスとして独立する方法がおすすめです。
副業は本業として1つの会社に属しながら、本業の労働時間以外でITエンジニアとして働く方法です。
メリットはフリーランスと同様、自分のペースで仕事ができることです。
副業の場合、就業規則があるわけではないので、期日にさえ間に合えばいつ働いても問題ありません。
また、本業があるので副業で仕事がなくても収入が途絶えることもないでしょう。
さらに、本業と違う仕事をする場合は、本業では身に付けられないスキルや、社内では得られない人脈が得られるのも1つのメリットです。
デメリットは、プライベートの時間(休む時間)が確保しづらくなることです。
本業以外の時間で別の仕事をするので、どうしても自由な時間が限られてしまいます。
またフリーランス同様、未経験から副業のITエンジニアとして仕事をすることは現実的に難しいといえるでしょう。
ITエンジニアとして活躍するには、知識や技術、経験が必要です。
とはいえ、誰しも最初は未経験からのスタート。
しっかりと学習しながらスキルや経験を積んでいけば、徐々に受けられる仕事の幅も広がります。
フリーランスや副業でも経験を積んでいけば、その分自由度も増すことでしょう。
また、企業によっては会社員という働き方であっても、エンジニア自身が案件を選べるなど(案件選択制度)自由な働き方ができるところもあります。
近年はリモートワークの案件が増えており、自由度の高い働き方もしやすいです。
ただし、これらの働き方ができるのは、スキルのあるITエンジニアに限った話です。
未経験から入社してすぐはできる仕事が限られるため、自由度の高い働き方は厳しいでしょう。
知識やスキルを身に付けて経験や実績を積むことで、より自由な働き方ができるようになります。
未経験からITエンジニアを目指す方法は、大きく「未経験者を多く採用している分野・職種を選ぶ」「未経験でもアピールできる材料を増やす」の2つです。
本記事の冒頭でもお伝えしたように、IT業界は人手不足が目立っています。
そのため、正しい戦略に沿って行動すれば、就職は決して難しくありません。
「そもそもITエンジニアの種類はどんなものがある?」でも解説したように、ITエンジニアには様々な種類があり、種類によって人気度や未経験から就職できる求人数も異なります。
以下の表に、エンジニアの種類ごとに未経験者へのおすすめ度合いをまとめました。
「上流工程担当のエンジニア」と「その他のエンジニア」はエンジニアの種類として解説しましたが、そもそも未経験から就職するのが難しいため、ここでは割愛しています。
開発エンジニア(システム系) | 開発エンジニア(Web系) | インフラエンジニア |
〇 | △ | ◎ |
参考「東洋経済ONLINE:コロナ禍で急増している「未経験IT就職」の実態」
結論としては、未経験からITエンジニアを目指すなら「インフラエンジニア」として働くことがおすすめです。
インフラエンジニアは業務内容が幅広く、未経験や経験が少なくても担当できる仕事が多いため、未経験者も多く採用されています。
次に、開発エンジニア(システム系)もおすすめです。
開発エンジニアの中でもプログラマーは未経験者の採用枠も多いので、就職しやすい職種といえるでしょう。
一方で、Web系の開発エンジニアはあまりおすすめできません。
スキル習得の難易度はそれほど高くありませんが、就職の難易度が高めだからです。
というのも、Web系の開発エンジニアとして働くとなると、多くの就職先が中小企業で求人数も少なく、経験者を中心に採用する傾向があります。
そのため、未経験からの就職難易度はやや高いといえるでしょう。
ITエンジニアの就活では、最もアピールしたいのは知識の豊富さやスキルの高さですが、未経験では実務経験がない分、経験や実績以外でのアピールが大切です。
具体的には、以下の3つがアピール材料になるでしょう。
特に大切なのが「専門資格の取得」です。
専門資格を取っておくと、仕事をするうえで最低限必要な基礎知識が身についていることをアピールできます。
中には「資格を取得しなくても、基礎学習をすればよいのでは?」と思われる方がいるかもしれません。
しかし、資格によっては実務に活かせることを意識したものもあり、試験勉強を通じて効率よく学習できます。
そのため、ただ基礎学習をするのではなく、ぜひ資格の取得まで挑戦してみましょう。
合わせて読みたい
先ほど「未経験者がITエンジニアを目指す方法」で解説した通り、分野・職種によって未経験者をどれほど採用しているかが異なります。
そのため、未経験からITエンジニアを目指す際、職種選びはとても重要で、以下3つのポイントを意識しましょう。
1つずつ詳しく解説します。
まずは、自分の希望を明確にする必要があります。
例えば、以下のような項目を考えてみましょう。
人によって譲れない条件は異なるため、自分なりの希望をできるだけ明確にしましょう。
ただし、知識や経験が少ない場合は、希望条件が多すぎるとマッチする企業がない可能性も高いです。
そのため、優先順位の上位2〜3つを決めておくのが良いでしょう。
ITエンジニアを目指す場合、自身の年齢やキャリアも考慮して分野を選ぶことが大切です。
また、年齢によっても就職しやすい分野が異なります。
以下の表に、年齢ごとにおすすめの求人分野をまとめました。
20代前半 |
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20代後半 |
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30代前半 |
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30代後半以降 |
|
参考「東洋経済ONLINE:データで検証「IT就職」は本当に自由で稼げるのか」
ある程度、目指す求人分野を絞ったら、学習を始めるのも1つの方法です。
特に「最低限の職業適性チェックをする」ためにも、学習を進めてみましょう。
学習を進めるうちに「この分野は自分には合わないかもしれない」と感じることがあるかもしれません。
しかし、そう感じたのもまた良い気づきです。
入社後の短期離職を避けるためにも、事前にある程度の学習をし、自分にはどの分野が合うのかも判断しておきましょう。
未経験からITエンジニアとして就職し、スキルアップする方法は以下の3つです。
レベルの高い案件に入るというのは、一般的にはある程度の経験を積んでいないと難しいでしょう。
そのため、最初は「基本的なスキルを伸ばす」と「勉強をしてスキルや知識を深める」の2つを重点的にやっていけば問題ありません。
まずは基礎的なスキルを伸ばしましょう。
具体的には、以下4つのスキルがおすすめです。
業務に直結するプログラミングスキルはもちろん、円滑に仕事を進める上でコミュニケーションスキルも大切といえるでしょう。
仕事をするうえで、社内の他のエンジニアやクライアントと連携を取ることも重要だからです。
また、英語力やマネジメントスキルなどは、今後上流工程の仕事を担当したり、海外での活躍を視野に入れている方は身につけておきたいスキルといえます。
IT業界は新しい知識・技術や流行のスキルなどが存在するため、勉強を継続して知識やスキルを深めることも大切です。
勉強方法は以下のようなものがあります。
ポイントは、自分に合った方法・教材を選ぶことです。
しっかり机に向かって集中的に学習するのか隙間時間に勉強を進めるのかなど、自分の勉強方法に合わせてツールを選びましょう。
また、教材のレベルが現在の知識や技術レベルと合っていることも大事なポイントです。
これらの点を意識して、勉強方法と教材を選んでください。
スキルアップのために、レベルの高い案件に入るのもおすすめです。
企業によっては自分で案件を選べるなど、ITエンジニアにとって働きやすい環境が整備されています。
ただし、自分の持っているスキルよりもかけ離れたレベルの案件に入るのは避けましょう。
分からないことばかりだと上手く仕事ができず、自社にもクライアントにも迷惑をかけてしまいます。
「まだ実務経験はないが、知識は持っているから挑戦してみたい」
「レベルの高いエンジニアと一緒に入って学びたい」
など、可能な範囲で挑戦してみてください。
本記事では「未経験からITエンジニアを目指している」「未経験からITエンジニアになった場合、どんな働き方ができるのか知りたい」という方に向けて、以下の内容を解説しました。
まずは就職しやすい職種の中から興味のあるものを探してみましょう。
職種が決まったら、次に考えるのは働き方です。
企業によって、ITエンジニアの働き方は大きく異なります。
そのため、応募を考えている企業ではどのような働き方ができるかをよく調べることが大切です。
私たちウズウズカレッジは、未経験からITエンジニアを目指している方に向けて様々な学習支援や就業サポートを行っており、未経験からITエンジニアとして活躍している方も多数います。
「未経験からITエンジニアを目指しているけど、何から勉強していいか分からない……」
「未経験からITエンジニアとして就職するために、何をしたらいいか教えてほしい」という方は、ぜひこちらの詳細ページをご覧ください。
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