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AI研修で活用できる助成金一覧|申請の流れや注意点も解説

「AI研修に助成金を使いたいけど、申請方法が分からない」と悩む方も多いのではないでしょうか。

人材開発支援助成金は、AI研修の実施にかかる費用の一部を国が助成する制度です。

ただし、コースや訓練ごとに細かく条件が設定されているため、制度を正しく理解していないと助成を受けられない可能性があります。

本記事では、AI研修に活用できる助成金の一覧と、申請の流れ・注意点などを分かりやすく解説します。

制度の活用方法を正しく理解し、自社の人材育成やDX推進に役立てましょう。

AI研修で活用できる助成金一覧

AI研修に使える助成金は複数あり、制度ごとに対象となる研修や申請条件が異なります。

ここでは、活用できる3つの助成金と、補足としてIT導入補助金について紹介します。

  • 人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング⽀援コース」
  • 人材開発支援助成金「人への投資促進コース」
  • 人材開発支援助成金「人材育成支援コース」
  • 補足:IT導入補助金はAI研修で使える?

それぞれの制度がどのような研修に対応しているのか、順に見ていきましょう。

人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング⽀援コース」

「事業展開等リスキリング支援コース」は、新規事業の立ち上げやDX推進に必要なスキルを従業員に習得させるための訓練に対して、訓練経費と賃金の両方を助成する制度です。

AIや機械学習、IoTといった高度なIT分野の研修も対象に含まれており、AI研修で最も利用されている助成金の1つとなっています。

この制度は、助成率の高さと適用範囲の広さが特徴です。

中小企業であれば、訓練経費の最大75%が助成され、DXやGX(グリーントランスフォーメーション/脱炭素化)に関わる研修にも対応しています。

新しい技術への対応を急ぐ企業にとっては、AIを始めとした先端スキルを効果的に習得できる、実用性の高い制度といえます。

対象となる研修事業展開やDX・GXに伴い、新たな業務に必要な知識や技能を習得させる訓練
経費助成率75%(中小企業以外:60%)
賃金助成額(1人/1時間)1,000円(中小企業以外:500円)
主な要件・10時間以上の訓練時間であること
・OFF-JT(通常業務と区別して実施される訓練)形式であること
・職務に関連した訓練で、次のいずれかに該当すること
 ○新規事業の立ち上げに伴い、新たな分野で必要となる知識・技能を習得させる訓練
 ○DXやグリーン・カーボンニュートラル化などに関連する業務への従事に必要な知識・技能を習得させる訓練 など

制度の詳細については、厚生労働省のホームページをご確認ください。

人材開発支援助成金「人への投資促進コース」

「人への投資促進コース」は、AIやDXを担う高度デジタル人材の育成に特化した助成制度です。

ITスキル標準(ITSS)・DX推進スキル標準(DSS-P)のレベル4~3の取得を目標とした訓練など、先端IT分野のスキル習得を目的とした研修が対象です。

中小企業であれば、経費の75%・賃金1時間あたり1,000円が助成されるため、DX戦略と連動した研修を、コストを抑えながら実施できます。

また、DX認定企業であれば、対象となる講座の幅が広がる点もこの制度の特徴といえます。

社内のデジタル人材を計画的に育てたい企業にとって、有効な選択肢の1つです。

対象となる研修高度なITスキルやデジタル技術を習得させる訓練
経費助成率75%(中小企業以外:60%)
賃金助成額(1人/1時間)1,000円(中小企業以外:500円)
主な要件高度デジタル人材訓練の場合
・10時間以上の訓練時間であること
・OFF-JT(通常業務と区別して実施される訓練)形式であること
・Reスキル講座等、ITSSレベル3・4相当の高度デジタル人材訓練であること
・「DX推進スキル標準(DSS-P)」掲載資格の取得を目標とする訓練であること など

制度の詳細については、厚生労働省のホームページをご確認ください。

人材開発支援助成金「人材育成支援コース」

「人材育成支援コース」は、職務に関連する知識や技能を習得させる訓練に対して、訓練経費や受講者への賃金の一部が助成される制度です。

研修内容に特定の制限がないため、新人研修やIT研修、営業力強化といった幅広い分野での人材育成に対応できます。

正社員だけでなく有期契約労働者も対象となるため、企業規模や職種を問わず柔軟に活用が可能です。

また、賃上げ要件などの一定の条件を満たすことで、助成率が加算される仕組みもあり、上手く活用すれば研修コストの大幅な削減が期待できます。

対象となる研修職務に関連した知識や技能を習得させる訓練
経費助成率45%(中小企業以外:30%)
賃金助成額(1人/1時間)800円(中小企業以外:400円)※賃金要件等を満たす場合1,000円(同500円)
主な要件・10時間以上の訓練時間であること
・OFF-JT(通常業務と区別して実施される訓練)形式であること
・職務に関連する内容であること など

制度の詳細については、厚生労働省のホームページをご確認ください。

補足:IT導入補助金はAI研修で使える?

IT導入補助金は、ソフトウェアやクラウドサービスといった「ITツールの導入」が前提となる制度であり、研修のみを目的とした申請はできません。

ただし、ITツールの導入と合わせて実施する研修については、その費用が「導入関連費」として補助対象に含まれる場合があります。

例えば、導入するITツールの操作や運用に不可欠な研修であれば、その研修費用も補助対象として認められる可能性があります。

補助対象となるかどうかは、導入するツールの種類や申請枠によって異なるため、事前にIT導入支援事業者と相談した上で申請を進めることが必要です。

なお、IT導入補助金は募集期間が設けられており、申請には審査(競争採択)もあるため注意が必要です。

対象となる研修ITツールの導入に必要な操作・運用に関連する研修(※研修単独での申請は不可)
経費助成率1/2~2/3(枠によっては3/4、4/5の場合もあり)
賃金助成額(1人/1時間)支給無し(※賃金助成の制度ではないため)
主な要件・中小企業・小規模事業者であること
・事務局に登録されたITツールの導入であること
・IT導入支援事業者との共同申請であること など

制度の詳細については、IT導入補助金(公式サイト)をご覧ください。

AI研修で助成金を受給するために気をつけること

AI研修は、助成金を活用することで費用負担を大きく抑えることが可能です。

ただし、制度を適切に利用するには、以下のポイントを理解しておく必要があります。

  • 申し込みは「研修前」が鉄則
  • 社員の職務に関連しない研修は対象外
  • 研修中に従業員の解雇や退職を行わない
  • 出欠は8割以上・研修の実施記録を怠らない
  • 研修は勤務時間内に行う

これらの点を押さえて準備を進めることで、スムーズな申請と助成金の確実な受給に繋がります。

申請のタイミングや研修内容、運営方法など、条件を満たさなければ助成金が支給されないケースもあるため、事前に確認しておきましょう。

申し込みは「研修前」が鉄則

助成金を活用する上で最も重要なのが「申請のタイミング」です。

人材開発支援助成金は、研修開始の6ヶ月〜1ヶ月前までに「訓練実施計画届」などの必要書類を労働局へ提出し、所定の手続きを完了しておく必要があります。

しかし、実際には、様々な理由から助成金を受け取れなかった企業も少なくありません。

「見積もりを取った直後に研修を実施してしまった」

「急いで進めたかったので申請を忘れていた」

研修の内容が充実していても、申請手順を誤るだけで助成金は不支給となります。

こうした事態を防ぐには、研修計画の段階から助成金の利用を前提にしたスケジュールを立てることが重要です。

研修会社との打ち合わせを早めに行い、必要書類や提出期限の確認も怠らないようにしましょう。

社員の職務に関連しない研修は対象外

助成金を受給するには、研修内容が制度の要件に適合していることが不可欠です。

対象となるのは、従業員の職務に関連した知識や技能の習得を目的とした研修であり、職務と直接関係のない内容は助成の対象外となります。

例えば、ビジネスマナーや接客スキル、教養講座などは、業務との関連性が薄いと判断されやすく、助成対象と認められないケースも見られます。

実施予定の研修が助成金の支給要件を満たすかどうかを事前に確認し、研修の目的や内容が職務とどう関係しているのかを明確に説明できるようにしておきましょう。

内容が要件を満たしていない場合、申請自体が却下される可能性もあるため、注意が必要です。

研修中に従業員の解雇や退職を行わない

人材開発支援助成金は、従業員の専門的な知識や技能を高め、企業全体の生産性を向上させることを目的とした制度です。

これにより、企業は従業員のキャリア形成を支援し、労働市場における競争力強化が期待されています。

そのため、研修期間中に従業員の解雇や退職を推奨する行為は、制度の趣旨に反します。

実際にこうした対応が確認された場合、助成金の支給対象から外れる可能性があるため注意が必要です。

適切な雇用管理のもとで安定した労働環境を維持しながら実施することが、助成金の活用条件となります。

出欠は8割以上・研修の実施記録を怠らない

人材開発支援助成金を適切に活用するには、研修の出欠管理と実施内容を適切に記録する必要があります。

特に出席率には厳格な基準があり「8割以上の出席」が支給要件として定められています。

また、助成金の申請には出席簿・報告書・配布資料・カリキュラム等の提出が求められ、これらが研修実施の証拠書類として扱われます。

記録に不備がある場合、実際に研修を実施していても助成金の支給が認められないケースがあるため注意が必要です。

研修開始前の段階から、出欠・記録管理を徹底できる体制を整えておきましょう。

研修は勤務時間内に行う

助成金を活用する際は、研修の実施時間が「勤務時間内」であることが原則とされている点には注意が必要です。

特に賃金助成を申請する場合、研修が勤務時間外に実施されていると、その時間分の賃金は助成対象から外れる可能性があります。

例えば、通常の就業時間が9時〜18時の企業において、18時以降に実施した研修は、原則として助成の対象外とされます。

社内スケジュールを事前に調整し、研修が勤務時間中に収まるように計画的に実施することが重要です。

AI研修に助成金の利用を検討している企業が抱えるよくある疑問

AI研修で助成金を活用したいと考えていても、制度の仕組みや申請条件など、具体的な運用について不安や疑問を持つ方は少なくありません。

ここでは、企業からよく寄せられる代表的な2つの疑問について、分かりやすく解説します。

助成金制度を正しく理解し、スムーズな申請・受給に繋げるための参考にしてください。

助成金はいつごろ入金される?

助成金の入金は、研修実施後の申請や審査を経てからとなるため、実際の入金まではおおよそ2~3ヶ月程度かかります。

研修前に支給されることはないため、まずは費用を自社で全額立て替えることを前提に予算を組んでおく必要があります。

特にAI研修は受講料が高額になりやすいため、資金繰りを含めて計画的な運用を心がけましょう。

また、申請書類に不備があると審査が遅れる場合があるので、必要書類の準備や提出のタイミングにも注意が必要です。

契約社員や新入社員でも対象?

助成金の対象は正社員に限らず、有期契約労働者(契約社員など)も含まれる場合があります。

例えば、人材育成支援コースの「人材育成訓練」や「認定実習併用職業訓練」は、有期契約労働者(契約社員など)も助成対象です。

「人材育成訓練」の場合、経費助成率は最大70%(一定条件を満たせばさらに15%加算)と、正社員の45%よりも高い助成率が設定されています。

また、新入社員も雇用保険の被保険者であれば助成対象となりえます。

ただし「有期実習型訓練」は対象が有期契約労働者等に限定されているため、訓練の種類によって条件が異なる点に注意が必要です。

利用前に、それぞれのコースや訓練毎の詳細な条件を確認しておきましょう。

AI研修で人材開発支援助成を利用する流れ(申請〜入金)

AI研修で人材開発支援助成を利用する流れ

人材開発支援助成金を活用してAI研修を導入するには、事前に計画の作成・提出が必要です。

研修実施後は、所定の手続きに基づいて助成金を申請し、審査を経て支給されます。

以下は一般的な利用の流れです。

  1. 訓練内容に応じた「訓練実施計画届」を作成
  2. 提出期限までに労働局へ「訓練実施計画届」を提出
  3. 計画に基づきAI研修を実施
  4. 研修終了後、期限内に助成金の支給申請を行う
  5. 審査を経て支給が決定されれば入金される

1. 訓練内容に応じた「訓練実施計画届」を作成

人材開発支援助成金を利用するには、まず「訓練実施計画届(様式第1号)」を作成します。

この書類は研修の目的・内容・実施方法などをまとめた計画書で、訓練開始前の提出が必須です。

加えて、訓練対象者の一覧表や事前確認書など、その他にも必要な書類があります。

書類の様式は、厚生労働省のホームページからダウンロードが可能です。

また、助成金申請にあたっては、事業所ごとに1名以上の「職業能力開発推進者」を専任して「事業内職業能力開発計画」を策定し、社内に周知する必要があります。

訓練の種類や企業の状況によっては、追加書類の提出が求められることもあるため、事前に確認しておくと安心です。

2. 提出期限までに労働局へ「訓練実施計画届」を提出

訓練実施計画届の作成が完了したら、訓練開始の1ヶ月前までに、事業所を管轄する労働局へ提出します。

提出方法は窓口持参のほか、郵送やハローワーク経由でも可能です。

書類は雇用保険適用事業所単位で提出し、計画届(様式第1号)に加えて、前項の1.で紹介した各種書類や添付資料を揃えて提出します。

なお、有期実習型訓練を受ける予定で、訓練対象者を既に雇用している場合、提出前にキャリアコンサルティングを受ける必要があります。

資料や添付書類は早めに確認しておきましょう。

また「実習併用職業訓練」や「情報技術分野認定実習併用職業訓練」は、厚生労働大臣の認定を受けてから研修を実施する必要があります。

3. 計画に基づきAI研修を実施

策定した計画に沿って、AI研修を実施します。

この段階では、研修の進行に加えて、助成金申請に必要な書類の準備や証憑の保管も並行して行うことが求められます。

特に経費助成を受ける場合は、領収書や請求書の控え、支払い記録など、費用の発生を証明する書類を確実に保管しておくことが大切です。

また、研修の内容に変更が生じた場合(日時・時間数・講師の交代など)は、「訓練実施計画変更届(訓練様式第2号)」を事前に労働局へ提出する必要があります。

この手続きを怠ると、変更後の内容が助成対象外と判断される恐れがあるため、変更が発生した際は必ず所定の手順に従いましょう。

4. 研修終了後、期限内に助成金の支給申請を行う

AI研修が終了したら、訓練終了日の翌日から起算して2ヶ月以内に、所定の書類を揃えて労働局へ支給申請を行います。

この申請期限は厳格に定められており、遅れると助成を受けられない可能性があるため注意が必要です。

申請時には、必要な書類一式に加えて添付資料の提出も求められます。

助成金の受給までをスムーズに進めるために、記入漏れや不備がないかを確認し、提出期限内に申請することが大切です。

また、研修中に変更届を提出していない項目があると、その部分は助成の対象外となる恐れがあるため、申請前に内容をしっかり確認しましょう。

5. 審査を経て支給が決定されれば入金される

支給申請書類を提出した後は、労働局による審査が実施されます。

申請内容が助成金の支給要件を満たしていると判断された場合「支給決定通知書」が交付され、通知からおおよそ2週間以内に指定口座へ助成金が振り込まれます。

一方、書類に不備がある、または要件を満たされないと判断された場合は「不支給決定通知書」が送付される仕組みです。

ただし、計画届の有効期間内であれば、不支給となった訓練とは別に新たな訓練を実施し、改めて申請することも可能です。

人材開発支援助成金は確認項目が多く、他の助成金制度に比べて審査期間が長くなる傾向にあります。

入金までの期間を見越して、あらかじめ資金繰りを整えておくと安心です。

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人材開発支援助成金を活用すれば、AI研修の実施にかかるコストを大幅に削減できます。

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この記事を監修した人

S.KAWABATA 株式会社UZUZ COLLEGE 代表取締役

UZUZ COLLEGE代表取締役社長、UZUZグループ専務取締役。1986年生まれ、鹿児島出身。高校卒業後、九州大学にて機械航空工学を専攻。大学卒業後、住宅設備メーカーINAX(現・LIXIL)に入社。1年目からキッチン・洗面化粧台の商品開発に携わるも、3年目に製造部へ異動し、毎日ロボットと作業スピードを競い合う日々を送る。高校の同級生であったUZUZ創業者からの誘いと、自身のキャリアチェンジのため、「UZUZ」立ち上げに参画。第二新卒・既卒・フリーターといった20代若者への就業支援実績は累計2,000名を超える。2020年より教育研修事業を立ち上げ、2024年より「UZUZ COLLEGE」として分社化し、代表取締役社長に就任。