【2024年】IT研修で使える助成金一覧|申請の流れや注意点も解説

IT研修には、様々な助成金制度を適用できる可能性があります。

これらを上手に活用することで、企業は従業員の能力開発を効率的かつ低コストで実現できるでしょう。

ただし、最適な助成金を選ぶためには、自社の研修目的や対象となる従業員を明確にすることが重要です。

本記事では、IT研修で利用できる助成金の紹介をはじめ、申請手続きの流れや助成金を利用する際の注意点などを解説します。

「IT研修を実施したいけど、自社に適した助成金が分からない…」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

IT研修において助成金を活用できるシーン

IT研修の実施において、以下のような場合は助成金を活用できる可能性が高いです。

  • IT研修を利用して新人エンジニアを即戦力化したい
  • 全社的にITの基礎知識と活用能力を向上させたい
  • デジタル戦略や新規事業に必要なスキルを習得させたい

助成金を活用することで、研修コストの大幅な削減が可能となります。

ただし、研修の目的や依頼する研修会社によって助成金の利用可否は変わるため、事前にしっかりと確認しましょう。

IT研修で利用できる助成金一覧

IT研修で利用できる助成金には、以下の3つが挙げられます。

【人材開発支援助成金】

助成対象費用社員研修や職業訓練を実施した際の費用や訓練中の賃金
申請対象者全国の企業
助成額
  • 経費助成:45%〜
    (大企業は30%〜)
  • 賃金助成:760円〜/1人1時間あたり
    (大企業は380円〜)
  • ※上限額:コースによって異なる

【DXリスキリング助成金(中小企業人材スキルアップ支援事業)】

助成対象費用民間の教育機関等が提供するデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する職業訓練に係る経費
申請対象者都内に本社または事業所の登記がある中小企業もしくは個人事業主
助成額助成金対象経費の3分の2
※上限額:64万円/社・年度

【社内型・民間派遣型スキルアップ助成金】

助成対象費用都内の中小企業または団体が実施する短時間の職業訓練に係る費用や訓練中の賃金
申請対象者都内に本社または事業所の登記がある中小企業もしくは団体
助成額
  • 社内型:助成対象受講者数×訓練時間数×730円
  • 民間派遣型:助成対象受講者1人1コースあたり受講料等の2分の1
  • ※上限額:社内型と民間派遣型を合計して100万円

以下、それぞれ詳細な内容について解説します。

人材開発支援助成金のコースの種類と詳細

人材開発支援助成金は、企業が従業員の職業能力開発を目的として実施した研修に対して、国が助成金を交付する制度です。

IT研修で活用できるコースには、主に以下の4つが挙げられます。

【人への投資促進コース】

対象訓練
  • 高度デジタル人材を育成する訓練
  • 労働者が自発的に受講した訓練
  • 定額制訓練(サブスクリプション型)
助成対象費用訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成
申請対象
  • 事業主
  • 事業主団体
助成率
  • 経費助成:45%~
  • 賃金助成:760円~/1人1時間当たり
  • OJT実施助成:10万円~

【人材育成支援コース】

対象訓練職務に関連した10時間以上のOFF-JT訓練やOFF-JTとOJTを組み合わせた訓練
助成対象費用訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成
申請対象
  • 事業主
  • 事業主団体
助成率
  • 経費助成:45%~
  • 賃金助成:760円/1人1時間当たり

【事業展開等リスキリング支援コース】

対象訓練新規事業の立ち上げやDX等に伴い必要となる知識を習得させるための訓練
助成対象費用訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成
申請対象事業主
助成率
  • 経費助成:75%
  • 賃金助成:960円/1人1時間当たり

【教育訓練休暇等付与コース】

対象訓練有給教育訓練休暇制度を導入し、労働者がその休暇を取得して受けた訓練
助成対象費用訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成
申請対象事業主
助成率経費助成率:30万円
(※賃金要件等を満たす場合36万円)

参考:厚生労働省「人材開発支援助成金

人材開発支援助成金を利用すれば、社員研修費用の45〜75%の助成金を受け取ることが可能です。

また、研修費用のみならず、研修期間中にかかった従業員の時給も対象となります。

人材開発支援助成金の申請条件は、以下の通りです。

【申請要件】
  • 雇用保険加入者を1名以上雇用している(代表と同居の親族、取締役を除く)
  • 全従業員が雇用保険・労災保険・社会保険へ適切に加入している(個人事業主で従業員5名未満の場合は社会保険を除く)
  • 直近6ヶ月間において、会社都合による解雇をしていない、また、助成金受給までその予定がない(リスキリング支援コースは適用外)
  • 残業代未払いなどの労務違反をしていない

さらに詳しい内容を知りたい方は、厚生労働省のサイトをご確認ください。

DXリスキリング助成金(中小企業人材スキルアップ支援事業)の詳細

DXリスキリング助成金の概要は、次の通りです。

都内中小企業等が従業員に対して、民間の教育機関等が提供するデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する職業訓練を実施する際に係る経費を助成する。
引用:東京しごと財団:「DXリスキリング助成金

都内中小企業等とは、都内に本社または事業所の登記がある中小企業もしくは個人事業主を指しています。

対象となるのは、DXに関するスキルの習得を目的として、自社内に外部講師を招いたり、外部の研修機関が提供する研修やeラーニングを利用する訓練です。

具体的には、上記の訓練に係る受講料や教材費、ヒアリング料などの経費の3分の2が助成されます。

申請要件は以下の通りです。

【申請要件】
  • 都内に本社又は事業所(支店・営業所等)の登記があること
  • 訓練に要する経費を従業員に負担させていないこと
  • 助成を受けようとする訓練について国又は地方公共団体から助成を受けていないこと
引用:東京しごと財団:「DXリスキリング助成金

DXリスキリング助成金の詳細は、東京しごと財団の公式サイトよりご確認ください。

社内型・民間派遣型スキルアップ助成金の詳細

社内型・民間派遣型スキルアップ助成金の概要は、次の通りです。

都内の中小企業又は中小企業の団体が実施する短時間の職業訓練に対し、助成金を支給する。
引用:東京しごと財団「社内型・民間派遣型スキルアップ助成金

厳密には、中小企業や団体だけでなく、個人事業主も申請可能です。

助成対象となる訓練は、従業員の職務に必要となる知識・技術の習得や向上を目的として行われた集合研修です。

助成金額は、社内型と民間派遣型で異なります。

社内型
スキルアップ助成金
助成対象受講者数×訓練時間×730円
(団体の場合、訓練に要した経費-収入の額を上限とする)
民間派遣型
スキルアップ助成金
助成対象受講者1人1コースあたり受講料等(税抜)の2分の1
(25,000円を上限とする)
※非正規雇用労働者が全体の受講者の2割以上参加した場合は、受講料等の3分の2

引用:東京しごと財団「社内型・民間派遣型スキルアップ助成金

申請要件は以下の通りです。

【申請要件】
  • 都内に本社又は事業所(支店・営業所等)の登記があること
  • 訓練に要する経費を受講者に負担させていないこと
  • 訓練を通常の勤務時間内に行い、通常の賃金を支払っていること
  • 助成を受けようとする訓練について国又は地方公共団体から助成を受けていないこと

社内型・民間派遣型スキルアップ助成金の詳細は、東京しごと財団の公式サイトよりご確認ください。

IT研修における助成金の申請手続きの流れ

IT研修における助成金の申請手続きの流れ

IT研修に「人材開発支援助成金」を利用する際の申請手続きの流れは、以下の通りです。

  1. 労働省へ助成金利用申請書を提出(研修の1ヶ月前)
  2. 労働省から申請の認定
  3. IT研修の実施
  4. 労働省へ助成金支給申請書を提出(研修修了後2ヶ月以内)
  5. 助成金の支給もしくは不支給の決定

このように、助成金が実際に口座へ振り込まれるまでには、多くの書類作成や手続きが必要です。

研修実施前後の定められた期間内に、所定の手続きが必要となる点に留意してください。

事前に研修計画を立て、各種申請の要件を漏れなく満たすよう準備しておくことで、スムーズに助成金を活用できるでしょう。

IT研修助成金を利用する際の注意点

ここからは、IT研修で助成金を利用する際の注意点を解説します。

  • 申請手順や対象者は助成金によって異なる
  • 助成金交付の有無は研修終了後に決定する
  • 助成金の申請には期限があるため早めの準備が必要

それぞれ詳しく解説しますので、注意点を理解して上手に助成金を利用しましょう。

申請手順や対象者は助成金によって異なる

IT研修に活用できる助成金は複数あり、申請手順や要件はそれぞれ異なります。

例えば、助成金の対象者が「研修に8割以上出席した社員のみ」と定められているケースもあります。

要件の把握が不十分なまま研修を実施し、後になって「助成金が使えない」とならないためにも、事前に確認することが大切です。

また、助成金によっては申請手順が煩雑なため、利用を検討する際は徹底してルール確認を心掛けましょう。

その上で不明点があれば、社労士に相談するのも手段の1つです。

弊社UZUZが提供している研修サービス「ウズカレBiz」では、社労士による申請支援を行っています。

複雑な手続きも、専門家のバックアップがあれば安心して進められるでしょう。

助成金交付の有無は研修終了後に決定する

助成金交付の有無は、研修終了後に決定します。

利用申請が承認されていても、実際に助成金を受け取れるかどうかは研修完了まで確定しません。

また、助成金の採択から最終的な受給までには、約1年の期間を要します。

以上の点を踏まえると、助成金の交付を前提とした研修予算の編成は避けるべきです。

助成金はあくまでも研修実施後に受け取る補助金として考え、自社の資金で研修費用を賄える状態にしておく必要があるといえます。

助成金の申請には期限があるため早めの準備が必要

IT研修に関する助成金の活用を検討する際、各制度には明確な申請期限が設定されていることを認識しておきましょう。

例えば、人材開発支援助成金の「人への投資促進コース」では、訓練開始日から起算して1ヶ月前までに計画届の提出が求められます。

このような期限を考慮すると、研修開始日の3ヶ月ほど前から準備に着手するのが理想的です。

早期の取り組みにより、申請書類の作成や必要書類の収集、内容の精査など、余裕を持って行えます。

また、早めの準備をしておけば、書類に不備が見つかった際の修正や、申請内容の変更といった不測の事態にも柔軟に対応可能です。

「期限の厳守」と「早期の準備」により、スムーズかつ確実な助成金利用を実現できるでしょう。

助成金を利用したIT研修に関するご相談はウズカレBizへ!

本記事では、以下の内容を解説しました。

  • IT研修において助成金を活用できるシーン
  • IT研修で利用できる助成金一覧
  • IT研修における助成金の申請手続きの流れ
  • IT研修助成金を利用する際の注意点

IT研修では、様々な助成金が利用可能なため、自社の研修目的や対象者を明確にした上で、どの助成金を活用するか検討しましょう。

ただし、助成金には申請期限や交付条件などの注意点もあるため、しっかりと把握しておくことが大切です。

ウズカレBizは「人材開発支援助成金」の対象であり、研修コストを最大85%削減できます。

また、経験豊富な講師による高品質な講義内容と、メタバースを活用したグループワークにより、受講者の効率的なスキルアップを実現しています。

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この記事を監修した人

S.KAWABATA  株式会社UZUZ COLLEGE 代表取締役

UZUZ COLLEGE代表取締役社長、UZUZグループ専務取締役。1986年生まれ、鹿児島出身。高校卒業後、九州大学にて機械航空工学を専攻。大学卒業後、住宅設備メーカーINAX(現・LIXIL)に入社。1年目からキッチン・洗面化粧台の商品開発に携わるも、3年目に製造部へ異動し、毎日ロボットと作業スピードを競い合う日々を送る。高校の同級生であったUZUZ創業者からの誘いと、自身のキャリアチェンジのため、「UZUZ」立ち上げに参画。第二新卒・既卒・フリーターといった20代若者への就業支援実績は累計2,000名を超える。2020年より教育研修事業を立ち上げ、2024年より「UZUZ COLLEGE」として分社化し、代表取締役社長に就任。